数学を学ぶ - 高校数学編

近年のプログラミング言語の潮流や、自分の今後のキャリアの積み方を考えた結果、数学を学び直したいと考えるようになった。


この記事では、僕が高校数学を学ぶ上で有用だと感じた本を紹介したいと思う。
ただし、僕の現時点での目標は「理論の概要を理解する」「数学的な目線で問題の構造を捉えられるようになる」なので、大学入試を控えた受験生にはあまり役に立たないかもしれない。

そう、高校数学は17〜18世紀ごろの数学なんですよ。 ガリレオデカルトの頃に始まって、 ニュートンオイラーと経て、 ガウスの時代頃まで。 コーシーとかハミルトンの名前が出てくるか出てこないかってくらいです。


はっきり言うと、そんなに高度な内容じゃありません。 現代の教育の質の高さを考えると、 概要をつかむくらいなら1・2ヶ月もあれば十分な内容です。 それを3年もかけてじっくりとやるのは、ただひとえに、 「まるで日本語をしゃべるかのごとく、ごく自然に扱えるようになるまで体に刻み込め」 ということです。 高度ではないとはいえ、基礎中の基礎なので、しっかりと固める必要があります。

「++C++;」 の岩永さんが 高校の数学 で上記のとおり書かれているが、僕の経験としても、細かな数式を覚えることや難しい問題を短時間で解くことを望まなければ、毎日真面目に勉強すれば数ヶ月で高校数学の教科書に書かれていることを理解するくらいは出来るようになると思う。もちろん、本人の適性による部分はあるかもしれないけれど。

中学数学でリハビリ・基礎固め

僕の場合、長い間まともな数学の勉強から遠ざかっていたので、リハビリ的な意味も兼ねて中学数学から学び直すことにした。

語りかける中学数学

語りかける中学数学

この本は約750ページあり、中学数学の本にしては分量が多いと感じる人もいるかもしれない。けれど、以下のような特長があり自習に向いているので、数学に苦手意識があり最初から勉強をやり直したい人にはとても有用だと思う。

  • 一冊で中学数学の範囲をカバーしている
  • 優しく丁寧な、語り口調による説明
  • 豊富な図解、例題、解答に至るまでの考え方の説明、そして誤答例
  • 二色刷りによる重要な部分の強調

"数学が見ている世界"を覗く

問題の解き方や公式を機械的に覚えても、仕事などで対峙する現実の問題にそのまま適用するのは難しい。試験のために勉強するのでなければ、機械的に覚えるのではなく、数学が扱っている問題の意味や日常との関わりを知った上で学習したほうが、身に付きやすいし応用もしやすいと思う。

意味がわかれば数学の風景が見えてくる

意味がわかれば数学の風景が見えてくる

この本も約750ページあり、分量がとても多いと感じる人もいると思う。けれど、「微分積分学」「代数学」「幾何学」「統計学・確率論」など数学の主要な分野を一冊でカバーしながら、それでいてほぼ全てが1トピック2ページの形式で書かれているため、ちまちまと少しずつ読み進める方法で気軽に問題なく読み通せる。
ところどころ難しい数式も出てくるけれど、そういう部分は解らなければ読み飛ばし、後から他の本で詳しく勉強すればよいと思う。

数学の広がりとつながり、そして"数学を学ぶこと"を学ぶ

高校数学は、中学数学に比べ何倍も範囲が広く内容も難しい。また、教科書上の科目は分かれていても、それぞれの内容が深い所でつながっていたりする。そのため、教科書をいきなり読むよりも、数学の分野ごとのつながり、そして数学を学ぶ方法や取り組む姿勢を知っておいたほうが、結果的に効率良く学習を進められると思う。

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

数学ガール/乱択アルゴリズム (数学ガールシリーズ 4)

数学ガール/乱択アルゴリズム (数学ガールシリーズ 4)

数学ガール/ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)

数学ガール/ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)

ご存知の人も多いかもしれないが、数学ガールシリーズは本当におすすめできる。個人的な実感として、数学を独習しようとすると、"数式を読み書きする方法や考える方法を学ぶこと"が難しかったりする。けれど、このシリーズを読めば、作中の登場人物達の対話や学ぶ過程を通じて、登場人物達と一緒に"数学を学ぶこと"を学ぶことができる。
例えば、作中には、単なる問題の解き方だけではなく、「数学は言葉を大事にする」「わかったふりをしない」「当たり前のところから出発するのはいいこと」「例示は理解の試金石」など、数学を学ぶ姿勢に関するヒントが繰り返し登場する。
1巻目は全体的に難しめのトピックや式変形の省略が多く、僕も最初に読んだ時には苦手意識を感じる部分が多かったのだけれど、2巻目以降は中学生が登場するためか易しいトピックや計算過程の説明の割合が増えているし、シリーズ全体を通じて難しいトピックについても雰囲気は伝わるようにちゃんと配慮がなされている。
また、登場するトピックは、 Wikipediaの記事 に書かれているとおり、幅広い分野からテーマに沿う形で厳選されている。高校数学の範囲を超えるようなトピックもあるけれど、怖がらずに読み進め、深い所から見える数学の世界を感じてみたほうが、結果的に高校数学の理解も深まると思う。ただし、特定の分野について体系的に網羅するような構成ではないので、その点だけは留意が必要だと思う。

高校数学を学ぶ

準備ができたところで、高校数学を体系的に学ぶことにする。

新体系・高校数学の教科書 上 (ブルーバックス)

新体系・高校数学の教科書 上 (ブルーバックス)

新体系・高校数学の教科書 下 (ブルーバックス)

新体系・高校数学の教科書 下 (ブルーバックス)

この本は、高校数学の全ての範囲が、新書版・上下巻で計約700ページ、というコンパクトな形でまとまっている。その代わり、練習問題は少ない。問題を解く練習がしたいなら、別途問題集の購入が必要だと思う。
この本を用いた学習方法としては、頭から最後まで少しずつ目を通して概要を理解し、自分がより深く学びたいトピックがあれば後から部分的に繰り返し読むという形でよいのではないか、と僕は思う。


試験に追われるように短期間で理解する必要がないのであれば、自分で好きな目標を設定し、自分のペースで着実に身に付くように学んだほうが、きっと楽しいし面白い。